89 巻 (1981) 1032 号 p. 393-402
PbO-Nb2O5-SiO2-Al2O3系ガラスから強誘電性の斜方晶系PbNb2O6を析出させるにはガラス組成にNiOのような遷移金属酸化物を付加し, 急冷ガラスを1250℃から45℃/minで冷却するとき最も析出量が多かった. このときNiOは斜方晶系PbNb2O6析出の際の結晶核となるものと推定し, X線マイクロアナライザーにより析出初期の球晶の中心付近でNi濃度が増加することを確かめた. 強誘電性の斜方晶系PbNb2O6の微構造は網目状に配列した針状結晶であった.
急冷及び結晶化ガラスとも吸収電流が観測され, これらガラスの電圧, 電流特性は比例関係を示さず, 吸収電流は空間電荷分極によるものと考えられた. 立方モデル式に従って強誘電性結晶析出の結晶化ガラスのマトリックス相の誘電率ε2を計算すると結晶の体積分率の増加とともにε2は増加し結晶化ガラスの誘電率に近づく. 直流伝導の活性化エネルギーEdcは1.00-1.36eVで通常の電子伝導性ガラスのEdcに比べはるかに大きい. 急冷ガラスのEdcは結晶化後もほとんど変わらない. 急冷, 結晶化ガラスとも交流伝導の活性化エネルギーEacはEdcのほぼ2倍で, 直流と交流で伝導機構が異なることを示し, 結晶相の導電率がガラス相のそれより低いことが推察された.