2016 年 31 巻 p. 113-
昨今,国土交通省社会資本整備審議会では道路構造物の長寿命化に向けて維持管理・更新を効率的且つ効果的に進めるための手段として「点検,診断,措置,記録」といったメンテナンスサイクル構築の重要性を示した.そこで,各研究機関等ではメンテナンスサイクルの構築に向け,ジオグリッド補強土壁の劣化シナリオの作成及び体系立った整理が進められている.筆者らは,過去に経験した凍上による鋼製枠を用いたジオグリッド補強土壁(以下,補強土壁と称す)の被災事例に対し,藤田らが提案したフォルトツリー等を参考に,補強土壁が崩壊に至る劣化シナリオの作成及び凍上調査の結果について整理したので報告する.