2016 年 31 巻 p. 135-
谷を埋めた盛土では飽和度や地下水位が上昇していることから,地震時の被害が拡大することが報告されている.北海道のような積雪寒冷地では,盛土表層が凍結状態にあるような場合に地震が発生する可能性がある.しかし,地盤凍結が盛土の動的特性に及ぼす影響について,盛土の変状・崩壊に至るまでの実験的な研究や対策工に関する報告は少ない.本研究では積雪寒冷地における盛土の地震時挙動と地山補強土工法による耐震性向上を把握するため,模型盛土に対して振動台実験を行った.実験結果から,凍結状態では,盛土表層の凍結に伴う土要素の強度増加に伴い加振時の盛土の安定性は極めて高い状態にあった.しかし,融解に伴い安定性は低下することがわかった.また,凍結融解によって地山補強材が損傷を受けた場合には,加振後の盛土の鉛直変位はやや増加し,耐震性が低下することが確認された.