2016 年 31 巻 p. 175-
本研究では,ベントナイト系の遮水シート工法により改修されたため池の耐震性能を検証するため,堤高3mの実大規模ため池堤体を対象に加振実験を実施した.ベントナイト系遮水シート(以下,遮水シートという)は,堤体内部に階段状になるよう設置した.レベル1地震動を想定した最大177Galの加振実験の結果,漏水は発生せず,堤体の変形は極めて小さかった.さらに,レベル2地震動を想定した最大471Galの加振実験の結果,決壊や漏水発生には至らなかったが,堤体天端にクラックが発生した.発生クラックの深度調査から,遮水シートは堤体の地震時挙動に影響を与えることがわかった.さらに,堤体の応答加速度から,遮水シートを境界として上流側堤体と下流側堤体の振動特性が異なることが示唆された.