2019 年 34 巻 p. 183-190
ジオテキスタイル等による補強土壁の設計では,基礎地盤が液状化する場合には液状化対策を行うことが一般的であるが,ここでは,液状化対策を施さず,レベル2地震時の液状化による地盤変位を考慮して設計した事例を報告する.対象施設は,南海トラフ巨大地震に伴う津波や高潮による浸水対策のために護岸背後に計画された高さ約7mの津波防潮堤である.基部に約1m厚のコンクリート底版を設け,液状化時の堤体の不同沈下や変形を抑制する方針とした.まず補強土壁の許容傾斜角を設定し,2次元動的変形解析FLIPによるレベル2地震時の変形照査により,傾斜角の確認と底版および盛土補強材の設計を行った.