2019 年 34 巻 p. 43-48
盛土の地震時リスク評価では,地震ハザード曲線と盛土のフラジリティ曲線を用いる.本論文では,地震時リスク評価のうち,無補強盛土と補強盛土のフラジリティ曲線に着目し,実用性の高い簡易なフラジリティ曲線推定方法を提案する.まず,地震作用として,1997年から2018年までの震度5.5以上の強震記録を収集して,Arias Intensityで調整した強震データベースを作成する.この強震データを作用力として,鉄道標準に則った高さの異なる無補強・補強盛土モデルを設定して,Newmark法による地震時残留変位量の計算を一様性の高い準乱数を用いたモンテカルロ法により繰返し計算することで,地震時の無補強・補強盛土の損傷確率を求める.最後に,Arias Intensityのレベルに応じた損傷確率を求めた後,実用的なフラジリティ曲線推定式を提案する.