抄録
本論文は,遮水シート工法により改修された堤高14.9mのため池堤体を対象に実施した耐震性照査結果につ
いて述べている.現地調査および室内試験結果に基づいた数値解析を実施し,レベル1地震動およびレベル2地
震動に対する耐震性を評価した.まず,レベル1地震動に対しては,浸透流解析を行って堤体内の浸潤線を推
定した上で,極限つり合い法(震度法)を用いて堤体の地震時の円弧すべり破壊安全率を評価した.その結果,
当該ため池の地震時の安全率は基準安全率1.2を上回ることが確認できた.つぎに,レベル2設計地震動を用い
て2次元動的応答解析を実施した結果,地震により堤体の天端に近いほど応答加速度が大きく,天端で0.81mの
沈下が発生したが,許容沈下量以下であるが確認できた.