抄録
ジオシンセティックス(GS)を巧みに利用することによって不安定な粘性土でも安定した土構造物として利用でき,また基礎地盤として機能を果たすことが出来るようになって来た.このような目的のために不織布あるいは複合不織布を用いて土構造物や基礎地盤の機能を維持していくために解決しなければならない課題の一つが目詰まり(クロッギング,Clogging)の防止や低減である.このことを達成するひとつの方法として,ジオシンセティックスの上下に砂のような粒状層を設けることによって,このクロッギングを防止あるいは低減させる方法を提案し,その有効性に関する基礎的検討を室内試験において続けてきた.その結果,薄い砂層の間にGSをサンドイッチ状に挟むことによってクロッギングの低減は勿論のこと,地盤としての支持力も剛性も著しく改善できることが分った.加えて,GSによるサンドイッチ構造は,土構造物や基礎地盤を粘り強いもの(靭性のあるもの)にも改善できることを明らかにした.さらに、適当な粒状土を選ぶことによって,汚染土の浄化などの新たな機能を付与できる可能性を示唆した.