脳神経外科ジャーナル
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外傷性浅側頭動脈瘤の1例
松田 文孝杉江 亮梶川 博山村 邦夫児玉 治小川 竜介若林 伸一若林 千恵子嶋本 文雄
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2001 年 10 巻 5 号 p. 339-342

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抄録

症例は80歳, 女性で, 交通外傷にて右側頭部を打撲した.初診時JCS1で右側頭部に10×8cmの皮下血腫を認めた.皮下血腫は約2〜3ヵ月後に浅側頭動脈の走行に一致した2×2cmの拍動性腫瘤となった.外傷性浅側頭動脈瘤と診断し, 浅側頭動脈を結紮後, 動脈瘤を摘除した.組織学的には動脈瘤壁は線維性組織から成り, 仮性動脈瘤であった.外傷性浅側頭動脈瘤は稀な疾患ではあるが, 頭部外傷後の合併症として動脈損傷が考慮される場合は動脈瘤の発生を念頭に置き, 経過観察を行うべきである.外傷性浅側頭動脈瘤は, 受傷後2〜8週間後に耳前部領域に無痛性拍動性腫瘤として認めることが多く, STAの圧迫で拍動の減弱を認める.治療は主に浅側頭動脈結紮後, 動脈瘤摘除術を行う.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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