脳神経外科ジャーナル
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視神経乳頭浮腫と複視をきたした特発性頭蓋内圧低下症の1例
大田 正流竹下 岩男松本 健一
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2001 年 10 巻 5 号 p. 353-357

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抄録

われわれは, 58歳, 女性で, 特発性頭蓋内圧低下症により両側慢性硬膜下血腫を生じ, 視神経乳頭浮腫と複視を認めた症例を経験した.硬膜下血腫の経時的増大により, 頭蓋内圧亢進症状をきたしたと判断し, 穿頭血腫除去術を行った.発症1週目の頭部MR imagingでは異常所見はなかったが, 発症1カ月目の頭部MR imagingで髄膜増強, 視神経交叉, 脳幹, 小脳扁桃の下垂がみられ, 頭蓋内圧低下症を疑った.視神経乳頭浮腫と複視の発生機序は, 頭蓋内圧低下症での脳実質下方移動による視神経, 外転神経の直接的障害に加えて, 慢性硬膜下血腫による間接的神経圧排により神経軸索灌流障害も関与したものと考えた.本疾患は突然の激しい頭痛, 痙攣, 意識障害で発症することもあり, 症状も多彩で注意が必要である.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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