脳神経外科ジャーナル
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頸部頸動脈狭窄に対するstenting
中原 一郎坂井 信幸永田 泉柳本 広二下鶴 哲郎酒井 秀樹東 登志夫名村 尚武高橋 淳大田 元石澤 錠二間中 浩森実 飛鳥川端 康弘新堂 敦安榮 良悟菊池 晴彦
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2001 年 10 巻 7 号 p. 445-453

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抄録

頸部頸動脈狭窄に対するstentingの自験例を基に本治療の現況および今後の課題について報告した.87例の症候性あるいは無症候性の高度狭窄病変に対するstentingの手技成功率は97.7%で, ステントが留置できた症例においてはいずれも十分な拡張が得られた.合併症はいずれも血栓塞栓症に起因しており, 永続性2.3%, 一過性8.0%であった.初期の経験を基に, 適応決定における頸部エコー上のプラーク性状評価の重視, distal protective balloonの導入, 形態上の完全拡張を企図しない, などの配慮を加え, また, 手技の習熟とともに合併症率の低減が得られた.スタンダードな治療手技の確立, 頭頸部用のステントやより有効なprotective systemの開発, 長期成績や脳卒中治療における意義付けなど, 今後検討すべき多くの課題を残しているものの, 高齢化社会における閉塞性脳血管障害に対する新たな治療手段として, 本治療の今後の発展が期待される.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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