脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
薬剤耐性遺伝子発現より薬剤を選択し化学療法を施行した中枢神経系原発性悪性リンパ腫の1例
國塩 勝三松本 義人森崎 訓明河北 賢哉三宅 啓介長尾 省吾
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 10 巻 7 号 p. 469-474

詳細
抄録

薬剤耐性遺伝子の発現結果を基に化学療法を行い, 良好な結果が得られた中枢神経系原発性悪性リンパ腫(CNSL)の症例を報告した.症例は74歳, 女性で, 1999年11月10日より徐々に右片麻痺および言語障害が進行し, 当科入院となった.頭部CTおよびMRIにて, 左前頭葉および左視床から大脳脚に浮腫を伴い, 均一に増影される腫瘍が認められた.左前頭葉腫瘍の定位的生検術にてdiffuse large B-cell lymphomaと診断した.RT-PCR法にて種々の薬剤耐性遺伝子のmRNAの発現を検索した結果, MDR1, MRP1, MGMT, Topo IIαは発現を認めたが, cMOAT/MRP2, およびMXR1の発現はみられなかった.methotrexate(MTX)の大量(3.5g/m2)投与を1クール行ったが, 一度縮小した腫瘍が再増大したため, 2, 3クール目では, 薬剤耐性遺伝子の発現結果より, mitoxantrone, carboplatinをMTX大量療法と併用した.その後, 腫瘍は完全に消失した.神経学的に失語症は改善し, 右片麻痺は改善傾向にあり, 現在リハビリ訓練中である.このような, 一連の薬剤耐性遺伝子発現を参考した化学療法, いわゆる"テーラーメード"の治療が今後期待される.

著者関連情報
© 2001 日本脳神経外科コングレス
前の記事 次の記事
feedback
Top