症例は65歳,男性,脳底動脈塞栓症に対する選択的血栓溶解療法施行後,閉塞性水頭症,細菌性髄膜炎を併発した.髄膜炎による病態が改善した後に,脳室-腹腔短絡術を施行したが,その後,初回CTでも認められた透明中隔腔が漸次増大した.perfusion MRIにて脳梁の血流低下が示唆されたため,発症8カ月の時点で神経内視鏡的開窓術を施行した.術後には,腔の縮小と脳梁の血流改善を認めた.急性水頭症,髄膜炎の併発,脳室-腹腔短絡術による髄液循環の変化などが中隔腔壁の組織変性,complianceの低下等を惹起し,髄液と腔内容との浸透圧較差とも相まって本病態が発生したものと推察した.このような病態に対する神経内視鏡的アプローチの有用性について考察した.