2003 年 12 巻 3 号 p. 147-155
脳変性疾患,脳腫瘍,脳血管障害では,既存の治療法には限界があり,遺伝子治療は新しい治療法の一つの選択肢として期待されている.すでに脳腫瘍,Canavan病,amyotrophic lateral sclerosisなどでclinical trialが施行され,一定の効果は認められているが,ベクターによる免疫反応,細胞毒性など,安全性の面でクリアすべき問題も多い.しかし,以前に比較してより効率的で安全なベクターの開発も進んでおり,今後,Parkinson病やAlzheimer病,脳血管障害においてもその応用が期待される.