脳神経外科ジャーナル
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治療に苦慮した外傷性頸動脈海綿静脈洞瘻再発の1例
堀口 健太郎小林 英一小林 繁樹平井 伸治内野 福生伊藤 誠朗佐伯 直勝山浦 晶
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2004 年 13 巻 8 号 p. 599-604

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抄録

離脱式バルーンにて完全閉塞後,約6カ月を経て再発した外傷性頸動脈海綿静脈洞瘻(traumatic carotid-cavernous fistula ; TCCF)の1例を経験した.症例は15歳男性で,交通事故後1週間して右耳鳴,複視で発症し,内頸動脈海綿静脈洞部にシャントを認め,TCCFと診断された.離脱式バルーンを用いた血管内治療が施行され,瘻孔の完全閉塞を認めたが,約6カ月後に再発をきたした.大量のシャントのため,頭蓋内動脈の描出は認めず,流出静脈路が変化しており,著明なcortical refluxが生じていた.最終的にはコイルを用いた親動脈塞栓によりシャントの消失をみた.離脱式バルーン治療後のCCF再発例の報告はほとんどがバルーンの移動・縮小による早期の再発であり,6カ月を経て再発した例は稀であり,文献的考察を加えて報告する.

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© 2004 日本脳神経外科コングレス
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