悪性グリオーマの発生には多くの細胞シグナル伝達ならびに増殖に関連した遺伝子の異常が関与しているが, それらは, (1)EGF/EGFRおよびPDGF/PDGFRを中心とするリガンド-受容体とそのシグナル伝達経路であるRas/MAPK系およびP13K-PTEN-Akt-mTOR系を中心とする増殖シグナル受容伝達系, (2)p53, MDM2およびPTENを中心とする増殖シグナル制御系, さらに(3)cyclin D, cdk4/6, p16^<INK4a>, p14^<ARF>, Rbなどの細胞増殖エンジンの3つに大別される.本稿ではそれらの機能異常と悪性グリオーマの発生機序との関連性につき概説する.