症例は12歳,男児,痙攣発作にて発症.CT・MRIにて前頭骨円蓋部より頭蓋内に進展する病変を認め,手術にて全摘出.病理組織学的にchondroblastomaと診断された.本病変は,主に若年者の長菅骨に発生する良性腫瘍で,頭蓋骨にも稀に生ずるが,その好発部位は,側頭骨や上顎骨・頭蓋底など,軟骨内骨化(軟骨性骨発生)により骨形成がなされる部位とされている.軟骨性骨化によらず結合織性骨化(膜性骨発生)により形成される頭蓋冠で発生することはきわめて稀と考えられる.本腫瘍が頭頂骨,後頭骨に発生したとする報告は少数あるが,前頭骨に発生したとする報告は見当たらなかった.