脳神経外科ジャーナル
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眼症状出現後短期間にて脳出血をきたした海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻の1例
岐浦 禎展大庭 信二渋川 正顕坂本 繁幸岡崎 貴仁白水 洋史佐々木 朋宏山田 徹山中 正美栗栖 薫
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2007 年 16 巻 10 号 p. 799-804

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抄録

今回われわれは,眼症状出現後短期間で頭蓋内出血をきたした海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻の稀な1例を経験したので報告する.症例は82歳女性.左眼球突出・結膜充血にて発症した.海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻として治療を予定するも,その直前に失語症・右片麻痺が出現し,頭部CTにて脳出血・クモ膜下出血を認めた.直ちに経静脈的塞栓術を行い,症状は劇的に改善していった.海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻からの出血は非常に稀とされるが,脳静脈への逆流を伴う高齢者においては発見次第可及的速やかに治療すべきと考えられた.また本症の病態解明にはvolume subtracted 3D-CT angiographyが非常に有用であった.

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© 2007 日本脳神経外科コングレス
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