脳神経外科ジャーナル
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頭部外傷と高次脳機能障害 : 認知リハビリテーションのスタンダードと心理療法の適応領域について(<特集>頭部外傷治療のスタンダードと問題点)
中村 俊規橋本 圭司野路井 未穂間島 富久子石松 一真
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2007 年 16 巻 12 号 p. 926-935

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抄録

高次脳機能リハビリテーション(以下,リハ)のスタンダードにおいて,まず,その標的は高次脳機能すなわち前頭前野機能であることが確認された.われわれのプロセス指向認知リハ(POCR)とそのグループ・リハ・プログラム「オレンジ・クラブ」では,臨床心理士は第一に,家族が障害コーチとなるためのトレーナーとして,また,グループ力動の調整役としても機能していた.さらにオプションとして,高次脳機能障害に合併する器質性・心因性精神症状群などが抽出された.臨床心理士は第二に,精神症状群の存在に常に注意を払い,実際の治療介入や治療チームの調整役としての重要な機能も果たしていた.脳外傷後遺症のケアには,positive behavior supportを支持するような楽しい雰囲気作りの中で体験される「遊び」,「笑い」などが,心理的なテーマをわかって掘り下げない「支え」の医療の重要な要件となる.本領域に,臨床心理士の職域と心理療法の適応領域は広く,今後の発展が期待される.

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© 2007 日本脳神経外科コングレス
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