抄録
近年,重度の痙縮に対してバクロフェン髄腔内投与療法が行われるようになった.脳脊髄液シャント術との併用も認められているが,最近になってシャント術併用による合併症が数例報告された.シャント術後に本治療を行った3症例を報告する.原疾患が松果体腫瘍の放射照射後と頭部外傷後,脳内出血後の3例である.松果体腫瘍症例では麻痺性腸閉塞を,脳内出血症例では腹部ポンプ植込み部への髄液貯留を認め,いずれもシャントに関与した合併症と考えられた.今後さらにシャント術を有する症例の増加が予想されるため十分な注意が必要である.