脳神経外科ジャーナル
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海綿静脈洞部手術に必要な解剖を理解するための3次元立体海綿静脈洞モデル
森 健太郎山本 拓史大山 一孝中尾 保秋
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2008 年 17 巻 12 号 p. 940-945

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抄録

複雑な海綿静脈洞部の3次元的解剖の理解と海綿静脈洞を含む頭蓋底部の手術手技の習得にはcadaver dissectionが必要であるが,その機会は少ない.そこで,cadaver dissectionの代用となりえる人工の硬膜や海綿静脈洞や脳神経などを含む3次元頭蓋骨モデルを提唱する.骨削開が可能な人工骨を用いてレーザー溶融粉末積層造形法にて作製された3次元立体頭蓋底モデルに,シリコーンやゴムひもやビニルチューブなどを用いて,2層構造からなる硬膜,脳神経,海綿静脈洞内静脈叢,内頸動脈など,海綿静脈洞構造物を再現した.このモデルを用いて,anterior clinoidectomyや海綿静脈洞外側壁を構成するdura propriaをpeelingすることが,ほぼ実際の手術と同様に再現できた.海綿静脈洞を自作する過程と,作製したモデルをdissectionすることによって,海綿静脈洞に関係した頭蓋底手術に必要な3次元的解剖を理解することが可能となる.

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© 2008 日本脳神経外科コングレス
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