脳神経外科ジャーナル
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肉眼解剖実習の進歩と外科医による外科解剖研究の未来(<特集>手術訓練としての外科解剖実習(1):Cadaver dissectionの現状と将来-第23回微小脳神経外科解剖セミナーより-)
松村 譲兒
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2009 年 18 巻 10 号 p. 724-730

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抄録

わが国の医学・歯学系大学における人体解剖実習は,1949年制定の「死体解剖保存法」ならびに1983年制定の「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」を法的根拠としている.これらの法律の制定当時,献体は「医学系大学の解剖実習のために死後に自分の身体を提供する行為」として理解されており,最近要望が高まっている外科解剖研究や手術トレーニングなどの実習外使用は想定されていなかった.このため,献体の実習外使用に際しては,人体解剖の法的解釈に加え,インフォームド・コンセントやバイオハザード対策など,さまざまな問題が生じる.しかしながら,法律やインフォームド・コンセントの書式以上に重要なのは,50年にわたって築いてきた献体登録者や家族と大学との信頼関係の維持であり,新たな献体登録者との信頼関係の構築である.

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© 2009 日本脳神経外科コングレス
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