脳神経外科ジャーナル
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耳鼻科医は内視鏡をこう役立てている : 内視鏡下鼻内副鼻腔手術の適応と応用(<特集>他科のエキスパートに学ぶ)
岡野 光博
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2009 年 18 巻 12 号 p. 889-896

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抄録

耳鼻咽喉・頭頚部外科は元来"穴を覗く"科であり,診断および治療の両面において内視鏡の恩恵を大いに受けている.その中でも脳神経外科との関連が深い鼻・副鼻腔領域には内視鏡が頻用されている.副鼻腔は,狭いうえにバリエーションが多い一方,眼窩・視神経・眼動脈・内頚動脈・前および中頭蓋底など,危険部位が多い.副鼻腔領域に用いられる内視鏡は直視型(0度)が主体となるが,前方斜視型(30度,45度,70度)を用いることで危険部位の多くが描出できるようになり,手術手技および成績の向上に役立ち,内視鏡下鼻内副鼻腔手術は世界的規模で普及している.またビデオカメラやナビゲーションシステムなどの周辺器機の精度が向上したことから,内視鏡手術の対象となる鼻・副鼻腔疾患は拡大している.慢性副鼻腔炎などの炎症性疾患,嚢胞疾患,良性腫瘍の多くは内視鏡手術のよい適応である.さらに外傷性疾患や一部の悪性腫瘍に対しても内視鏡手術が試みられている.

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© 2009 日本脳神経外科コングレス
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