脳神経外科ジャーナル
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抗血栓療法の実際 : 周術期や出血時の対応を含めて(<特集>一般脳神経外科医が知っておくべきsubspecialtyの知識)
矢坂 正弘
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2010 年 19 巻 1 号 p. 4-13

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抄録

脳梗塞再発予防として,非心原性脳梗塞と心原性脳塞栓症には,それぞれ抗血小板療法と抗凝固療法が行われる.非弁膜性心房細動を有する患者では,70歳未満の場合はPT-INRを2.0〜3.0に,70歳以上では1.6〜2.6でコントロールする.外科処置や観血的検査時に抗血栓薬を中止すると血栓・塞栓症が危惧され,継続すると出血が懸念される.抜歯と白内障手術時は,抗血栓薬継続下で処置を行うべきである.しかし,大手術や内視鏡下での手術時には,抗血栓を止めざるをえない.その場合,血栓・塞栓症のリスクの高い症例では,ヘパリンによる代替療法を考慮する.ただし,代替療法を行っても血栓・塞栓症のリスクを完全に取り去ることはできないので,十分な説明に基づく同意を得るべきである.ワルファリン療法中に重篤な出血性合併症が起こった場合,上昇したPT-INRは乾燥人血液凝固第IX因子複合体の静脈内投与により早急に是正することができる.

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© 2010 日本脳神経外科コングレス
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