1993 年 2 巻 1 号 p. 9-14
後頭蓋窩や後頭葉の病変に対する定位的生検は,全身麻酔下に患者を腹臥位にして行われるのが一般的である.これに対し,著者らが行っている局所麻酔下座位での定位的生検は,患者にとって腹臥位や側臥位に比べ,より自然な体位で行うことができる利点がある.また本法は局所麻酔下で患者と対話しながら手術を進めることができ,術中の患者の状態を的確に把握することが可能である.定位的生検はあくまでblind surgeryであるため,後頭蓋窩病変に対する場合は特に出血などの合併症の早期発見に努めることが必須で,局所麻酔下でのこのようなモニターは重要である.本論文では著者らが行っている座位での局所麻酔下定位的生検の方法を紹介し,代表的な症例を提示する.