2011 年 20 巻 10 号 p. 734-740
被殻出血に対する外科的治療の有効性を示すエビデンスは,いまだ確立されていない.STICH studyなど,血腫除去術に対して否定的な意見がある一方で,定位手術,内視鏡手術などの低侵襲手術による有効性も報告されている.今回,自験例をまとめ,内視鏡血腫除去術における手術適応について文献学的考察を加え検討した.血腫除去術による予後改善効果を得るためには,GCS:9〜12点,血腫量30〜60ml程度の中等症がよい適応であると考えられた.また,低侵襲手技を用いた早期の血腫除去が,外科的治療の効果を高められると考えられた.将来的には,内視鏡下血腫除去術の有効性を確立するための多施設研究による検証が必要である.