脳神経外科ジャーナル
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新生児頭蓋内出血をめぐる諸問題(<特集>小児脳神経外科における諸問題)
師田 信人荻原 英樹上甲 眞宏
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2011 年 20 巻 11 号 p. 790-801

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抄録

新生児頭蓋内出血の諸問題点につき,早産低出生体重児・成熟児に分けて検討した.新生児では血管脆弱性・止血凝固機能の未熟性のため,頭蓋内出血を発症すると重症化しやすい.特に胚芽層は胎生24〜32週にかけて存在するが,血流豊富なだけでなく血行力学的弱点も有し,早産低出生体重児脳室内出血の出血源となる.出血の機序・好発部位は,早産低出生体重児と成熟児で大きく異なる.前者では胚芽層からの脳室上衣下〜脳室内出血が多いのに対し,後者では何らかの器質性疾患を背景にした脳実質内出血の占める割合が大きくなる.また,明らかな出血源の同定が困難なことも少なくない.新生児脳室内出血後水頭症については,保存的治療で管理困難な場合は外科治療を要する.外科治療の適応・時期・術式に関しては,患児の年齢・体重・全身状態を考慮して慎重かつ柔軟に選択する必要がある.

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© 2011 日本脳神経外科コングレス
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