2012 年 21 巻 8 号 p. 604-609
側頭葉腫瘍ではしばしばてんかんを合併する.手術加療によって単に病変のみならず,てんかんの治癒をも期待できる.ところが脳腫瘍に伴うてんかんの治療において腫瘍近傍の切除範囲については一定した指針がない.てんかんが難治でない場合は腫瘍摘出のみで発作が軽快することが多く,予防的抗てんかん薬投与は慎重に行うことが望ましい.薬剤難治性発作を伴う場合には海馬萎縮の有無を確認し,特に脳機能部位での病変・強い難治性・皮質形成異常合併を疑う症例では術中脳波記録・電極埋め込みを考慮する.発作コントロールの面からは,てんかん発作が難治になる前に腫瘍摘出を行うことが望まれる.