脳神経外科ジャーナル
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特集 医療におけるビッグ・データの活用
脳神経外科医療の可視化研究報告
—脳卒中急性期医療とビッグデータ活用に関して—
西村 邦宏
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2015 年 24 巻 10 号 p. 676-683

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抄録

 近年, 欧米ではAHA/ACCの脳卒中に関する登録データベースでGet With The Guidelineの登録件数が200万例を超えるなど, 大規模臨床登録データベースに基づくビッグデータを活用した研究が盛んになっている.
 われわれはこれまでに, 厚生科学研究飯原班において, 包括的脳卒中センターに関わるDPC情報に基づいた登録研究 (J-ASPECT研究) を行い, さらに今回, 日本脳神経外科コングレスの学会企画として, “脳神経外科医療の可視化に関する研究” を行った.
 日本脳神経外科学会研修プログラムにおける研修病院を対象に, 脳神経外科疾患の治療を目的に入院した患者について, 入院から退院までの一貫したデータベースをDPC情報を用いて作成した. 登録に関しては, 既存のレセプト情報を用いたため, 多忙な脳神経外科医に負担をかけることなく, 病名, 短期予後, 併存疾患, 手技, 薬剤履歴, 術後合併症, 医療費などについての情報を収集でき, 短期間で包括的なデータベース構築が可能であった.
 今回の研究では, 日本の脳神経外科医が, 脳神経疾患領域の広い範囲にわたり, その予防, 救急対応, 診断, 外科的・非外科的治療, 周術期管理, リハビリテーション, 長期予後管理などを一貫して担当している現状をより客観的に可視化 (見える化) を行うことができた. 作成されたデータベースにより, 脳卒中急性期医療に対して, 予後, 合併症, 施設規模による治療成績など多様な検討が可能であった.
 本研究における結果の概観と今後の展望について報告する.

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© 2015 日本脳神経外科コングレス
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