2017 年 26 巻 9 号 p. 650-656
グリオーマ手術は, “maximal safe resection” が求められる. 術中に脳機能と位置評価を行う技術の発展が機能温存のうえでの最大限の切除に大きく貢献している. “Maximal safe resection” において要となるのは, 脳神経外科の基本手技である. 脳裂, 脳溝, 脳血管の剝離, 脳回・葉の展開は, グリオーマ摘出において重要な手技である. 手術目標を明確にして手術戦略を練るべきである. グリオーマの生物学的特徴, 特に浸潤特性を念頭において, 腫瘍発生部位, 進展形式, 脳血管・神経線維・機能野の変位を鑑みて切除範囲を決定する. 注意点は, 手術支援技術と機器を過信しないこと, 術野をきれいに保つこと, 外科医の 「勘」 を養うことである.