脳神経外科ジャーナル
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症例報告
悪性グリオーマが疑われたtumefactive multiple sclerosisの1例
石川 耕平佐藤 憲市伊東 民雄尾崎 義丸浅野目 卓山口 陽平石田 裕樹石塚 智明岡村 尚泰渕崎 智紀谷川 聖田中 伸哉中村 博彦
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2017 年 26 巻 9 号 p. 688-693

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抄録

 Tumefactive multiple sclerosis (MS) は広範な浮腫や巨大な病変を形成することから, 脳腫瘍と鑑別が困難な例が多い. 本症例は66歳男性で右上下肢の単純部分痙攣発作で発症した. 左前頭葉の病変は画像上悪性グリオーマが疑われ摘出術が行われたが, 病理検査で脱髄性の所見や広範な出血および壊死像, Creutzfeldt cellを認めたことからtumefactive MSの診断に至った. 診断には病理検査が決定的となるが, 画像上病変部の血流上昇を認めないことが悪性グリオーマとの鑑別点と考えられた.

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© 2017 日本脳神経外科コングレス
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