2018 年 27 巻 11 号 p. 847-851
68歳男性の中枢神経原発悪性リンパ腫に対し, 大量メトトレキサート (MTX) 療法を施行した. 投与2時間半後に発熱をきたし, 血清クレアチニン値と炎症反応の上昇を認めた. MTXによる急性腎不全と感染症の合併を疑ったが, 感染源は明らかでなく抗生剤も無効であった. ガリウムシンチグラフィでの両側腎への集積, 尿中好酸球, 薬剤リンパ球刺激試験でのMTXへの陽性反応より, MTXによるアレルギー性機序による急性間質性腎炎が考えられた. よってMTXの再投与は避け, 全脳照射を行い寛解を得た. MTXによる急性間質性腎炎はまれだと考えられるが, その発症は用量非依存性であり薬剤の再投与は危険があることから, 鑑別診断として考慮することは重要である.