脳神経外科ジャーナル
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特集 小児脳神経外科疾患の課題と展望
小児くも膜囊胞の自然歴と手術適応・術式の選択
君和田 友美林 俊哲白根 礼造冨永 悌二
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2018 年 27 巻 9 号 p. 653-661

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抄録

 小児くも膜囊胞の自然歴と治療方針に関して概説した. 自然歴では, 囊胞の自然増大は4歳以上ではまれであり, 中頭蓋窩および円蓋部囊胞においては, 5cm以上の囊胞と頭部外傷歴は囊胞破裂の危険因子となるが, 破裂率は高くないため運動制限は推奨しない. 術式選択は症例ごとに検討の必要があるが, 四丘体部囊胞では生後6カ月未満児の神経内視鏡手術は, 再閉塞率・再手術率が高いため注意を要する. 中頭蓋窩囊胞では, 低年齢, 頭囲拡大, 囊胞拡大を認める症例では, 開窓術後に水頭症が顕在化することがある. 破裂症候性例へは, 穿頭ドレナージを先行し, 無効例や再発例に開窓術・被膜切除術を選択してもよい. 現時点で, 症候例への手術適応に異論はないが, 無症候例に対しては (無症候をどう定義するのかを含めて) 方針が定まっておらず, エビデンスの確立が求められる.

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© 2018 日本脳神経外科コングレス
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