2020 年 29 巻 5 号 p. 348-353
頭部外傷診療においては, 初診時に軽症であっても遅発性変化により重症化することがあり初期診療での対応が重要である. 頭部CT撮影の要否やフォローの方法などさまざまな決断が必要となる. 近年, ubiquitin C-terminal hydrolase-L1 (UCH-L1) やglial fibrillary acidic protein (GFAP) などの血液バイオマーカーを用いた脳損傷のスクリーニングや病態進行の予見が可能となった. この補助診断ツールは, 判定が簡便かつ明確であり有用である. また, スポーツ関連脳振盪や症状に乏しい高齢者頭部外傷におけるスクリーニングとしても, 今後の活用が期待されている.