脳神経外科ジャーナル
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脳膿瘍30例の検討 : 治療の変遷
工藤 弘志桑村 圭一和田 太郎玉木 紀彦
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1994 年 3 巻 3 号 p. 210-214

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抄録

過去16年間に経験した脳膿瘍30例を対象とし,主として,その治療法について検討した.入院時の意識レベルはGarfieldのcriteriaによりgrade A:意識清明で失見当識なし,grade B:傾眠状態で失見当識があるが,命令には応じる,grade C:痛み刺激にのみ応じる,grade D:いかなる刺激にも応じないの4段階に分けた.Grade Aでは主として穿頭ドレナージが,grade Bでは各種手術が行われたが,grade Cでは主として開頭術+膿瘍ドレナージが行われた.1980年以前では穿頭術にせよ開頭術にせよドレナージはほとんど行われていなかったが,1981年以降多くの症例にドレナージが行われ,特に1986年以降は全例にドレナージが行われた.起炎菌の検出率は73.3%で,年々嫌気性菌が増加し,特に最近の2年間は4例中3例が嫌気性菌であった.22例がなんら神経症状を残さなかった.死亡例は3例であり,いずれも基礎疾患を有していた.穿頭術にせよ開頭術にせよドレナージを行い,正確に起炎菌を同定することが重要であり,菌の同定以前でも嫌気性菌に対する治療を常に念頭におくことが重要と思われる.

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© 1994 日本脳神経外科コングレス
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