1994 年 3 巻 5 号 p. 398-403
大脳皮質の高次の情報処理過程を反映するとされているpain-related P250を用いて,脳深部刺激療法施行群8例および非施行群11例,計19例の遷延性意識障害患者に対し電気生理学的検討を加えた.その結果,明瞭なpain-related P250の記録される例では脳深部刺激療法の高い治療効果が期待でき,また神経症状の改善とpain-related P250の振幅の増大の間には相関関係のあることがわかった.したがって,遷延性意識障害患者に対する脳深部刺激療法の適応および治療効果を判定する際には,脳波連続周波数分析,ABR, SEP, SSEPに加えてpain-related P250の記録を行うことが有用であると考えられる.