感染性心内膜炎に合併した細菌性脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血例を報告した.症例は僧帽弁閉鎖不全症を有する46歳の男性で,5カ月間持続する発熱と血液培養からα-streptococcusが検出されたことより,感染性心内膜炎と診断された.化学療法により血液培養は陰性化したが,治療開始1カ月後にくも膜下出血をきたした.脳血管撮影にて脳動脈瘤を認めたため,使用抗生物質を増量し,炎症反応は鎮静化傾向を示したが,脳動脈瘤の再破裂により死亡した.本例を通じて本疾患に対する治療方針選択の困難さを痛感するとともに,治療方法を中心に文献的考察を行った.