2021 年 30 巻 1 号 p. 19-28
機能性下垂体腺腫のうち, プロラクチノーマはドパミン作動薬による薬物治療が第一選択となるが, その診断にはいくつかの注意点がある. 治療目標は患者の状況によって異なるが, 長期間PRL値の制御が必要な若年女性のマクロ腺腫例には, 総合的に外科治療の意義があると考える. 先端巨大症とクッシング病に対しては外科治療が第一選択で, 非寛解例に薬物治療が適用される. 腫瘍を標的としたドパミン作動薬とソマトスタチン誘導体が治療の主軸で, GH受容体拮抗剤やコルチゾール合成阻害剤が補助的に使用される. それらの組み合わせで先端巨大症では内分泌学的に制御される例が増加したのに対し, クッシング病ではまだ薬物治療の効果は不十分である. さまざまな薬物が開発中であるが, 機能性下垂体腺腫に対しては手術での摘出が理想的である. 全摘出できない例でも最大限に腫瘍を摘出し, 受容体や遺伝子の性状から有効な補助療法を選択するのが今後の方向性となるだろう.