2025 年 34 巻 2 号 p. 78-83
高齢化社会を背景とする抗血栓薬を服用した高齢者の頭部外傷の増加に伴い, 中和薬の使用頻度が増加している. 急性硬膜下血腫の開頭術に対する使用では, 手術時間の短縮や院内死亡率の低下が報告されている. しかし, 抗血小板薬に対する血小板輸血においてはその効果は乏しく, 血小板機能のモニタリングが提案されている. また, 受傷から早期の中和薬投与が推奨されている. 神経損傷は不可逆的であり, 二次的脳損傷に至る前に予防する. 最後に中和薬による虚血性合併症の対策として, 早期の抗血栓薬再開が推奨されている. 中和療法の使用頻度が増加している現状において, データの蓄積とともにその対策を検討し高齢者頭部外傷の予後改善に努めたい.