抄録
脳血管攣縮の予防,治療法の一つにCa拮抗薬とnitrog1ycerin(GTN)の併用療法が試みられている.また,脳血管攣縮の発生にprotein kinase C(PKC)の関与が考えられているため,われわれはこのPKC activaitor であるphorbol esterの12-deoxy-phorbol 13-isobutyrate(DPB)を用いて,正常栄養液,Ca^&ct;2+>除去液中でのDPB収縮に対するCa拮抗剤(diltiazem),GTNの単独投与および正常栄養液中での併用投与の抑制効果を張力,細胞内Ca^&ct;2+>濃度を同時測定して検討した.正常栄養液,Ca^&ct;>2+除去液中でのDPB収縮に対して,dilti-azem,GTNの単独投与はほとんど抑制効果がなかった.正常栄養液中でのDPB収縮に対して,diltiazem,GTNの併用投与はほとんど抑制効果がなかった.その機序としてdiltiazem,GTNで抑制できないほど,DPBにより平滑筋のCa^&ct;2+>感受性が増加したことが考えられる.