1997 年 6 巻 5 号 p. 322-327
頸椎前方固定術の椎体間移植片として使用した多孔性ハイドロキシアパタイト(HA)のバイオメカニカルな特性を,屍体ブタ頸椎の不安定モデルを用いて自家骨と比較検討した.自家骨あるいはHAを椎体間移植し,前屈,後屈,右側および左側屈方向の圧迫荷重に対する椎体間の変位率を計算し,荷重変位率曲線より剛性値を求めた.さらに,Fungの理論式に従いバイオメカニカルな特性の指標となる線形および非線形係数を算出した.自家骨移植群に対しHA移植群は椎体間の安定性は同等と考えられたが,非線形係数に格差があり,バイオメカニカルな特性に自家骨と相違があると考えられた.