60歳の男性で,広範な周辺浮腫を伴った,稀な嚢胞性髄嘆腫の1例を経験し,術前診断を困難にした要因についての考察を加えて報告した.本症例は,Nautaの分類ではtype2に属するものであったが,嚢胞の形成機序としては,壊死や腫瘍内出皿の関与は否定的で,腫瘍内における血漿成分の漏出による璽胞液の貯留の可能性が示唆された.本症例のような非典型的な画像所見を呈する髄膜腫においても,MRI上認められるperitumoral bandとdural tail signは,同腫瘍を膠芽腫や転移性脳腫瘍と鑑別するうえで大切な所見と考えられた.