1999 年 8 巻 2 号 p. 119-123
症例は65歳男性で, 右片麻痺と失語症で発症した.脳血管撮影では左頸部ICA閉塞を認めた.また, 眼動脈経由で頭蓋内と錐体骨部のICAが造影された.さらに左MCA-M1部の閉塞を認めた.頸部ICA閉塞部は短くMCA領域へのcollateral circulationは少なかった.症状改善にはM1部の早期の再開通が必要と考え, 閉塞した頸部ICAをguide wireでguiding catheterを通しM1の経皮的血管形成術(PTA)を行った.症状の改善後も頸部ICAの高度狭窄が残存したので約2カ月後に頸動脈内膜剥離術を行った.PTAを要する症例は急性発症であり, 責任病巣を的確に迅速に判断し, 血行再建術などを考慮に入れながら対処すべきと思われた.