脳神経外科ジャーナル
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Hydroxyapatite ceramicsによる頭蓋再形成時の硬膜外皮下液貯留
今泉 茂樹大和田 健司小沼 武英上井 英之中島 武彦
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2000 年 9 巻 1 号 p. 44-47

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抄録

Hydroxyapatite ceramics (HAC)は化学的に人体骨無機成分と同一であるため, 骨補填材料として優れ広く使われている.これまで異物反応に由来する浸出液貯留の報告はない.今回, われわれは45歳男性の頭頂後頭部髄膜腫を全摘出した際, 1995年6月の時点のため代用硬膜としてヒト乾燥硬膜(10×12cm)を用い, 腫瘍浸潤骨弁を除去した後にbone cement (10×8cm)を代用骨として使用した.4カ月後皮下水腫が貯留したため, 再手術にてbone cementを除去し, 同頭蓋骨欠損部分をHACで作成した骨板で補填した.しかしこの1カ月後に再び皮下から硬膜外にかけて著名な液貯留を認めたため, HAC骨板設置から3カ月後に3度目の手術を行い, HAC骨板除去を余儀なくされた.患者は頭蓋骨小部分欠損のまま退院した.3度目の手術の際, 採取した貯留液の成分分析において糖が0mg/dlであること, 手術所見にてHAC骨板上の頭皮内側が滑らかで肉芽増生がなく, 縫合部針穴からの脳脊髄液漏出もみられないことなどから異物反応による貯留液であると考えられた.したがってHACの補填領域が広範囲である場合, 以前にbone cementなどを使用した症例では, 本例のような異物反応由来の貯留液に留意する必要がある.

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© 2000 日本脳神経外科コングレス
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