2004 年 1 巻 1 号 p. 97-106
本研究は,顔の物理的特徴,相貌印象,再認記憶の因果関係について分析することを目的とした.顔画像を対象に,顔の物理的特徴の計測,SD法による印象評定実験,再認記憶実験を行い,その結果得られた特徴の計測値の主成分得点,因子得点,Aプライム値を用いて,相関分析,偏相関分析,分散分析を行った.分析の結果,再認記憶への影響の及ぼし方として,顔の物理的特徴が相貌印象を形成し,その印象が再認記憶に寄与するというルートと,物理的特徴が相貌印象に関係なく,直接再認記憶に寄与するというルートの2つのルートがあることが明らかになった.さらに,相貌印象では個性の印象が再認記憶に寄与すること,物理的特徴では口やあごに関する特徴が寄与することが明らかになった.