認知心理学研究
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原著
実在および架空のブランド名を用いたリベレーション効果の比較
三浦 大志伊東 裕司
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2012 年 10 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

リベレーション効果は,認知課題に取り組んだ直後に再認判断を行うと,その「old」判断率が上昇するという効果である.本実験ではブランド名を刺激に用い,20名の実験参加者に,中学時代にどれくらいそのブランドを知っていたかを判断してもらった.半数の試行では,ブランドの判断の直前にアナグラム課題が挿入された.その結果,架空ブランドの判断では,アナグラム課題が挿入されたときのほうがそうでないときより,ブランドを知っていたと答える割合(フォルスアラーム)が高いというリベレーション効果が見られた.一方実験参加者の中学時代に実在したブランドの判断では,リベレーション効果は見られなかった.架空ブランドを意識的に想起することは難しいので,本研究の結果は,回想プロセスより熟知性プロセスを利用した際によりリベレーション効果が生じやすいということを示唆している.また架空ブランドで最も大きなリベレーション効果が見られたことは,本効果が時間判断より既知判断において生じることを示唆している.

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© 2012 日本認知心理学会
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