認知心理学研究
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原著
呈示時間が検索誘導性忘却の解除に及ぼす影響:若年者と高齢者からの検討
松田 崇志松川 順子
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2014 年 11 巻 2 号 p. 97-104

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抄録

本研究では,若年者(実験1)と高齢者(実験2)を対象に,呈示時間が検索誘導性忘却における抑制の解除に及ぼす影響を検討した.典型的な検索経験パラダイムを用い,学習段階では呈示時間を操作し,最終テスト段階では再認テストを行った.正再認時間について,両実験において抑制の影響がみられ,若年者と高齢者共に抑制が生じていたことが確認された.正再認率について,若年者群では,呈示時間が短い条件で検索誘導性忘却がみられたが,呈示時間が長い条件ではみられず,学習時間が長いときに抑制の解除が起こりやすいことが示された.高齢者群では,呈示時間にかかわらず検索誘導性忘却がみられ,抑制の解除が起こりにくいことが示された.これらの結果から,若年者では,呈示時間が抑制の解除に影響を与え,呈示時間が長いほうが抑制の解除が起こりやすいことが示唆された.一方,高齢者では,抑制の解除が困難であることと呈示時間が抑制の解除に影響しないことが示唆された.

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© 2014 日本認知心理学会
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