2005 年 2 巻 1 号 p. 73-78
本研究の目的は,虚偽の記憶に対する処理水準の効果を調べることにある.虚再生や虚再認は,被験者に学習されない単語である未学習連想中心語と強い連想関係にある語を提示することによって導き出された.学習段階で,被験者は使用頻度評定か文字数数えのどちらかを課せられた.そして,その後に,直後再生テストと直後および1週間後に再認テストがなされた.結果は,より深い処理を行った被験者のほうが,学習単語を有意な差をもって再生もしくは再認したが,未学習連想中心語では,そうならなかった.また,保持間隔を経て,学習単語の正再認率とR反応率は大きく低下したが,未学習連想中心語ではそのようにはならなかった.