2025 年 22 巻 2 号 p. 145-159
本研究では,直感的–分析的な思考スタイルを測定する4-Component Thinking Styles Questionnaireの日本語版(4-CTSQ-J)を開発し,2つの調査により尺度の因子構造,信頼性,妥当性を検討した.調査の結果,4-CTSQ-Jはオリジナル版の4-CTSQと同様の因子構造を持ち,開放的思考,閉鎖的思考,熟慮的思考選好,直感的思考選好の4つの下位尺度から構成され,内的整合性があることが示された.4-CTSQ-JはCognitive Reflection Testの成績と相関し,実証的根拠を欠いた信念,推論課題の成績,主観的幸福感,共感性と関連を示した.いくつかの下位尺度は,他の尺度よりも特定の結果に対して強い関係を示した.これらの結果は,直観的-分析的思考スタイルの複数の次元の個人差が,さまざまな信念や行動に影響を及ぼす可能性を示唆している.思考スタイルにおける文化的差異と,非WEIRDの文脈における尺度の妥当性について議論を行った.