2024年度から学術変革領域研究A「マテリアマインド:物心共創人類史学の構築」が開始された.このプロジェクトは,ヒトによる環境構築と,ヒトの認知・身体・行動の変化との絡み合いについて,文理の枠を超えた超領域的共同研究によってそのメカニズムを明らかにし,人類の来し方行く末を統合的に理解する新モデルの提示を目指している.本プロジェクトにおける超領域的共同研究は人文学に理系の技術や手法を持ち込み「科学化」する月並みなものではなく,理系分野に人文学的概念や論理を持ち込むことで,学知の構造の根本的変革を企図している.心理学はこの試みの中で文理を繋ぐ扇の要として重要な役割を果しうる.本論文では,「マテリアマインド」の構想を紹介するとともに,プロジェクトに参画する心理学者(霊長類学,社会心理学,認知心理学,認知神経科学)の取り組みを紹介して,物心共創人類史学の中で心理学が果たすべき役割を考察する.